スパーク氏からのメッセージ 〜第11回定期公演によせてMessage from Spark
lt is with great honour and pleasure that l accepted the invitation to conduct vivid Brass for the third time at this concert today.
My memories of working with this great band on previous concerts havealways been happy and positive and l think today we have a very special programme for youjncluding Music of the Spheres皿d the Japanese premiere of my new Tuba Concerto with Mr. Kuniki Nobumitsu. lt promises to be an exciting time, so l hope youcanall sit back and enjoy the very special talents of VIVID BRASS!
Philip Sparke
ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウとの3度目のコンサートの指揮者として招待された事は、私にとって素晴らしい名誉であり喜びです。
過去にこの素晴らしいバンドと共演した私の記憶は、常に幸福と高揚をもたらしてくれるものでした。そして、今日は「宇宙の音楽」および、日本初演となる私の新しい「テューバ・コンチェルト」(独奏/国水神光)を含む特別なプログラムを用意しています。とてもエキサイティングな時開になることをお約束します。皆様がヴィヴィッド・ブラス・トーキョウの特別な才能を楽しみ、深く感銘する事を期待しています!
フィリップ・スパーク
スパーク氏からのメッセージ 〜CD「VIVID!!」ライナーノーツより
ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウ(VBT)にはこれまで2回のコンサートに呼んでいただき、今回またご一緒する事が出来ました。大変嬉しい限りです。VBTは、バンドとして独自の境地を持つ、誇るべきさ存在だと私は考えています。
私の国、英国では、金管バンドというと、もっぱらアマチュア演奏家による物と認識されています。それらの演奏は、いつもとても情熱的です。ただ、そうした情熱はある意味、プロの演奏と少し違う物を思わせます。それはどのバンドの演奏も皆、躍動的で、活気にあふれ、真剣そのものできわめて水準も高いのですが、敢えて言うと、その方向性に置いては、明らかにプロと違う点が感じられるのです。
私の目にVBTは、実にユニークな存在に移ります。それは、VBTの演奏が、英国の味わう情熱とまさに同じものを醸し出しながら、プロフェッショナルな演奏家としての「完璧」を追求しているからです。練習から本番まで、それは一貫しています。この姿勢は指揮者をずいぶんと楽にするものです。ましてこのような楽団との競演は、指揮者として、まことに楽しい事です。VBTの演奏は、プロフェッショナルであると同時に際だった楽しさを感じさせてくれます。音楽への愛情を原動力にしている演奏家だけが持ち得る心があふれる演奏です。
これは指揮者の理想型です!!
フィリップ・スパーク
チューバソリスト・国木伸光のコメントComment of KUNIKI (Tuba)
フィリップ・スパーク作曲「テューバ協奏曲」本邦初演。
本邦初演になるこの曲、世界でも2回目の演奏です。テューバの魅力に引き込まれる事でしょう。
ちょうど1年前のゴールデンウィーク(2006年)にスパーク氏と仕事で一緒になる機会がありました。その時の打ち上げでの会話です。
国木『来年VBTでテューバのソロをやるのですが何かお奨めの曲ありませんか?』
スパーク氏『今ちょうど書き終わったばかりの曲があるのでやらない?まだ出版されていないんだけど。』
国木『ほんとですか?それは是非やらせていただきたいです!』
スパーク氏『やりましょう』
国木『難しいですか?』
スパーク氏『・・・・・・』
国木『どんな感じの曲ですか?他の楽器にもコンチェルト書いてますけど難しいですよね?その曲もやっぱり難しいですか?』
スパーク氏『・・・・・・、音域は、下は○から上は○までです。』
国木『・・・、そうですか・・・是非やらせ下さい。』
スパーク氏『それでは後日楽譜を送ります。』
国木『よろしくお願いします!』
そんな流れで今回のコンチェルトにたどり着きました。
ありがたいお話しです。
楽譜が届きました、『やっぱり難しい!』
今日はリハーサル初日(2007年5月9日)
音源もなくひたすら一人でさらってはいましたが、やはり全員でやると更に良い曲です。
人間的にも素晴らしい方で、これからも沢山の曲を書いていただきたいです。
国木伸光
「宇宙の音楽」についてMusic of the Spheres
フィリップ・スパーク作曲「宇宙の音楽」
金管バンド版、本邦初演。
今や吹奏楽界では大ヒットの作品。歴史に残るであろうこの名曲、原曲は金管バンドです。
演奏時間約19分の超難曲、原曲の凄まじさをお聴き下さい!!ブラスバンド版本邦初演!!
2007年5月13日
フィリップ・スパーク氏による解説
訳:黒沢ひろみ
『宇宙の音楽』は、“宇宙の起源”と“果てなき宇宙の深淵”について、作曲者本人が純粋に心惹かれたことを反映した作品である。
曲名は、「万物の根源は数である」とする古代ギリシャの数学者ピタゴラスによって唱えられた “宇宙は、振動数比率が単純に整数倍である音程によって形成される純正な音階と同じ法則によって、その調和が保たれている” という理論から、導かれている。ピタゴラスは、また、その音程比率は、太陽系内の六つの惑星(当時は、肉眼で観測できた水星・金星・地球・月・火星・木星をもって6個と考えられていた)が太陽から隔てる距離に一致すると信じており、さらに、「それぞれの惑星は固有の音を発し、絶えまなく “天上の音楽” を紡ぎ奏でている(ただし普通の人間には一切聞こえず、ピタゴラスだけがその調べを聴くことができた)」と論じた。加えて、古代ギリシャには “ハルモニア” という言葉があり、これは現代の “ハーモニー/和声” とは異なる、 “音階” や “協和音程” を表わすものであって、さらには、その完成美を極めたものとして宇宙の本質そのものを体現する言葉と考えられていた(当時、紀元前500年頃は、歴史上最古の音楽形態である単旋律音楽しか存在していなかった)。このピタゴラスの理論による “六つの音” は、本作品後半の『宇宙の音楽』および『ハルモニア』のセクションで、その土台を構築する主題として使われている。
作品は、切れ目なく続く3つのセクションからなるが、まず冒頭は、『 t = 0 』を喚起するホルンのソロで幕を開ける。 “ t = 0 ” とは、「宇宙の誕生(ビッグバン)の瞬間 t には、時間・熱量・素粒子・重力・磁力・元素などすべてのものが無(ゼロ)であった」という、いま最も多くの科学者達がほぼ確信している考えを表わしている。そしてこのソロのあとに、時間が生まれ宇宙が拡がってゆく “ビッグバンその後” の描写が続く・・・あまねく森羅万象は、たった一つの “点” の爆発から生まれたのである!
次の緩やかなセクションは、『孤独な惑星』・・・地球についての黙想録である。太陽系内の他のどの星にも起こらなかった奇蹟とも言える偶然が、地球の進化を “命を育む惑星” として導いてきた。そして今や我々は、遥かなる銀河に向かって毎日のように、他の知的生命体を探す調査を続けているのである。
宇宙空間のいたるところに出現する『小惑星帯と流星群』は、危険性があるものも無いものも選択の余地なく、地球へ頻繁に迫ってくる・・・その情景を描写した後、この曲は、『未知』への問いを内に秘めながら、壮大なエンディングへと向かう。我々が開発を推し進めてきた大宇宙への飽くなき探究は、我々の将来にさらなる文明の発展をもたらすのか、それとも破滅の時を暗示するものか・・・。
<黒沢ひろみ氏の好意により掲載>
MUSIC OF THE SPHERES was commissioned by the Yorkshire Building Society Band and first performed by them at the European Brass Band Championships in Glasgow, May 2004.
The piece reflects the composer’s fascination with the origins of the universe and deep space in general.
The title comes from a theory, formulated by Pythagoras, that the cosmos was ruled by the same laws he had discovered that govern the ratios of note frequencies of the musical scale. (‘Harmonia’ in Ancient Greek, which means scale or tuning rather than harmony—Greek music was monophonic). He also believed that these ratios corresponded to the distances of the six known planets from the sun and that the planets each produced a musical note which combined to weave a continuous heavenly melody (which, unfortunately, we humans cannot hear). In this work, these six notes form the basis of the sections MUSIC OF THE SPHERES and HARMONIA.
The pieces opens with a horn solo called t = 0, a name given by some scientists to the moment of the Big Bang when time and space were created, and this is followed by a depiction of the BIG BANG itself, as the entire universe bursts out from a single point.
A slower section follows called THE LONELY PLANET which is a meditation on the incredible and unlikely set of circumstances which led to the creation of the Earth as a planet that can support life, and the constant search for other civilisations elsewhere in the universe.
ASTEROIDS AND SHOOTING STARS depicts both the benign and dangerous objects that are flying through space and which constantly threaten our planet, and the piece ends with THE UNKNOWN, leaving in question whether our continually expanding exploration of the universe will eventually lead to enlightenment or destruction.