パイパース2005年7月号に紹介されました。
覇気と誇り
非常に中身の濃い1枚だ。
中低音域のパートが優れた和声感覚を有し、なおかつ機動力も高い団体の持ち味が好ましく発揮されたアルバムとも換言可能か。旋律声部が自己主張するだけの合奏体にありがちな、音色的パレットが常に似たような絵具で埋まった印象とは無縁。メロディーメーカー的な才能にモノをいわせて次々と楽想を繰り返すスパーク一流の筆法は下手すると散漫な様相を呈しかねないのだが、それも杞憂に終わる。16分を超える「月とメキシコ」が弛緩なく再現されるのは、作曲者が指揮台に立っていれば当然の話、といってすむものでもあるまい。同団の委嘱作「ヘリオス」における覇気と誇りをたたえた合奏も耳に残る。
—パイパーズ2005年7月号より一部抜粋。